米国の一地方都市で特許事務所を経営する米国パテントエージェント兼日本弁理士が日々の業務で体験した事、感じた事を綴っています。

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特許期間の調整(Patent Term Adjustment: PTA)-(1)

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特許期間の調整について、最近、興味深い裁判があった。


EXELIXIS, INC. v. KAPPOS, Case No. 1:12cv96 (E.D. Va. November 1, 2012)
(リンク先:“PATENTYO”

特許期間調整について、米国特許商標庁(USPTO)が従来採用してきた計算方法が妥当でないとして、ある米国特許出願の出願人が裁判所に訴えを提起した事件で、ごく最近、バージニア東部地区地方裁判所により判決が下された事件である。

先ず、前置きとして、特許期間の調整に関する米国特許法・施行規則の規定について簡単に説明させていただきたい。

米国では、特許の存続期間(Patent Term)は、米国における特許出願日(PCT国際出願では国際出願日)から20年を原則としている。

但し、この20年は、様々な要因によって調整(拡張)される事になっている。大まかに言えば、特許出願から特許の発行までに要した期間(審査期間)が特許庁(USPTO)側の責任で必要以上に長びいた(遅延した)場合、その遅延分、特許の存続期間の終期を延期するが、逆に出願人の責任で審査期間が遅延した場合、USPTOの責任による遅延分から出願人の責任による遅延分を差し引いた期間が、特許期間の最終的な調整期間となる(但し、この最終的な調整期間によって特許期間の終期が出願から20年より早くなる事はない)。

1.先ず、USPTOの責任による遅延分は、以下に説明する“A” Delay (A 遅延)、“B” Delay (B 遅延)、及び“C” Delay (C 遅延)に基づく以下の計算式によって算出される。

USPTOの責任による遅延分 = (“A” delay + “B” delay + “C” delay) - (“A” delay 及び “B” delayの重複分 + “A” delay 及び “C” delayの重複分)

A Delay (A 遅延):
35 U.S.C. § 154(b)(1)(A)(i)-(iv), 37 CFR 1.702(a), 37 CFR 1.703(a)に規定された期日の遅延
具体的には以下の通り
(1)出願から14ヶ月以内に拒絶理由又は特許許可の通知を発行する(154(b)(1)(A)(i))。
(2)拒絶理由通知に対する出願人の応答、又は最終拒絶に対する審判請求から4ヶ月以内に(USPTO側が)応答する(154(b)(1)(A)(ii))。
(3)審判及びインターフェアレンス部の決定(審決)から4ヶ月以内に適宜の処理を行う(154(b)(1)(A)(iii))。(例えば審決を考慮した上で新たな拒絶理由通知や特許許可通知を発行する事を意味する)。
(4)発行料(特許許可通知後の登録料)の支払いから4ヶ月以内に特許を発行すること(154(b)(1)(A)(iv))。

B Delay (B 遅延):
「USPTOは出願から3年以内に特許を発行する」という原則の期日からの遅延(35 U.S.C. § 154(b), 37 CFR 1.702(b), 1.703(b))

C Delay (C 遅延):
インターフェアレンス(抵触審査)に要した期間、政府の命令により審査が中断された期間(出願の審査、又は出願の公開若しくは特許の公表が国家の安全に危険をもたらす虞があると判断された場合等)、又は審判(日本で言う拒絶査定不服審判)や裁判(日本で言う審決取り決訴訟)等で特許性ありという主張が認めらた場合それらの審理に要した期間 (U.S.C. § 154(b)(1)(C)(i)-(iii), 37 CFR 1.702 (c)-(e), 1.703(c)-(e))

2.一方、出願人の責任による遅延については色々あるが、代表的なものとして例えば以下のものがある。

i)出願人が出願手続を終結させるための合理的な努力をしなかった期間に等しい期間期間 (35 U.S.C. § 154(b)(2)(C)(i))

ii)拒絶理由通知(Office Action)に対する応答(3月の応答期間)を延長した期間 (35 U.S.C. § 154(b)(2)(C)(ii), 37 CFR 1.704(b))

iii)37 CFR 1.704(c)(1)-(11) に規定された要因によって遅延した期間(35 U.S.C. § 154(b)(2)(C)(iii), 37 CFR 1.704(c)(1)-(11))

3.また、特に出願から特許の発行までの期間が3年を越えた場合(B Delayが起きた場合)については、その遅延が以下の理由による場合には、当該理由による遅延分は調整(延長期間)から差し引かれるという規定がある(35 U.S.C. § 154(b)(1)(B)(i)-(iii), 37 CFR 1.702(b)(1)-(5))。

i)継続審査請求(Request for Continued Examination)による継続審査に要した期間 (35 U.S.C. § 154(b)(1)(B)(i))

ii)インターフェアレンス(抵触審査)に要した期間、政府の命令により審査が中断された期間(出願の審査、又は出願の公開若しくは特許の公表が国家の安全に危険をもたらす虞があると判断された場合等)、又は審判(日本で言う拒絶査定不服審判)や裁判(日本で言う審決取り決訴訟)等で特許性ありという主張が認めらた場合それらの審理に要した期間 (35 U.S.C. § 154(b)(1)(B)(ii))

iii)拒絶理由通知(Office Action)に対する応答(3月の応答期間)を延長した期間 (35 U.S.C. § 154(b)(1)(B)(iii))

以上がPTAに関する基本ルールである。

(次回に続く)

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プロフィール

中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)

Author:中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)
日本の特許事務所、企業知財部勤務の経験を経た後に渡米し、米国の特許法律事務所に8年勤務後、米国テキサス州ヒューストンにおいて、日本企業の米国特許出願代理を専門とする代理人事務所(Nakanishi IP Associates, LLC)を開設しました。2016年5月、事務所を米国カリフォルニア州サクラメントに移転しました。

現在、Nakanishi IP Assocites, LLC 代表

資格:
日本弁理士
米国パテントエージェント

事務所名:Nakanishi IP Associates, LLC
所在地:
6929 Sunrise Blvd. Suite 102D
Citrus Heights, California 95610, USA

Website:
Nakanishi IP Associates, LLC

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