米国の一地方都市で特許事務所を経営する米国パテントエージェント兼日本弁理士が日々の業務で体験した事、感じた事を綴っています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

USPTO料金の改定案(Proposed Patent Fee Schedule)

☆新着情報☆ 新事務所“Nakanishi IP Associates, LLC”開設のお知らせ(完全日本語対応によるきめ細やかなサービスで米国における強い特許の取得をお手伝い致します。)

昨年(2011年)9月16日に発効された米国特許法改正法(Leahy-Smith Act: AIA)により、米国特許商標庁(USPTO)は、議会の決定によることなく、特許出願料その他の庁料金を設定することができるようになった。

法改正後、同年9月26日に早速、庁料金の改定が行なわれたところだが、先日、2013年2月(原則)以降に適用される次回料金改定に向け、USPTOより新たな料金設定の提案書が公表された。

この提案書について、今後、USPTOは、Patent Public Advisory Committee (PPAC)(USPTOの運営に助言を与える委員会:弁護士等によって構成)から諮問を受け、その上で、最終提案書を作成する。その間、パブリックコメントも受け付ける(詳細についてはUSPTOのWebsiteをご参照ください(Leahy-Smith America Invents Act Implementation))。

今回の提案書は、その内容として、2012年9月16日から施行される特許付与後レビュー(Post Grant Review)、当事者系レビュー(Inter Partes Review)、補充審査(Supplemental Examination)等の庁料金の額も含まれる事がわかっていたため、特許業界の多くの人間にとって公表前からかなり気になるものだった。

蓋をあけてみると、請求人が大企業(Large Entity)の場合で、

特許付与後レビュー(Post Grant Review):最低(クレーム数が20以下で)35,800ドル、
当事者系レビュー(Inter Partes Review):最低(クレーム数が20以下で)27,200ドル、
補充審査(Supplemental Examination):7,000ドル、
補充審査から再審査(Reexamination)に移行した場合:審査料として20,000ドル、

という提案内容だ。

その他、改正後も存続する現行の査定系再審査(Exparte Reexamination)は、2,520ドルから17,760ドルに値上げされる。

ちなみに、継続審査請求(Request for Continued Examination: RCE)も、現行の930ドルから 1,700ドルに値上げされる予定となっている。

詳細内容はUSPTOのWebsiteを参照(Table of Patent Fee Changes

それにしても...高いなあ...というのが個人的な感想。正直驚いた。

本来、改正法の柱の一つである第三者による特許異議申立て制度の改定や補充審査の導入は、特許の品質向上を目指したものであったはずであり、その為に、特許の審査・登録・維持という行政の管理下にある段階で、できるだけ有効性の高い完全なものにするような法制を構築したもの、というのが私の理解である。

しかし、上記の料金体系を見る限り、全般的に特許の品質を上げるというより、特許の有効性についての争いや、訴訟に備えた特許の武装強化を、行政庁の仕切りで訴訟の前哨戦として行なうためのシステムという印象を受けなくもない。そういう観点なら、「1ヶ月の10万ドル程度の出費を覚悟しなければならないと言われている特許訴訟に比べれば、2万ドルや3万ドルの出費くらい安いものでしょう」と、個人的には納得し難いが、そういう理屈なのかなとも思える。

うがった見方をすれば、「これまで、特許係争で発生していた訴訟(侵害訴訟や無効確認訴訟)等の費用の一部が、概ねその前段階に位置づけられる特許付与後レビュー、当事者系レビュー、或いは補充審査等のシステムを通じてUSPTOや代理人に流れ込むよう誘導したいのだろうか」と思えなくもない。

特許制度について、理想を言えば、係争の勃発を抑制しつつも、新しい技術を開発した者が、必要以上の経費を費やすことなく、その新規技術開発の努力に見合う対価分、健全な形で市場を独占できるような法制が整って欲しいところである。

青臭い考えと一笑に付されても仕方ないが、願わくば、特許の業界には、某国の特許法が謳うように、「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与すること」を目指してもらいたいと思うのだ。

とは言ってみても、今回の法改正を含め、知財関連法の立法には、管轄官庁ばかりでなく、大企業対中小企業の利益相反や、特許業界を取り巻く財界人、政治家等、多くの政治的な影響力を持つ人間の思惑等、多くの要因が複雑に絡むのが常。一筋縄ではいかないのかもしれない。

皆様はどうお考えでしょうか。


にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ
にほんブログ村
ご閲覧いただきありがとうございます!
ブログランキングに参加しています。
クリックして頂けると大変嬉しいです。
関連記事
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめteみた【米国特許修行記 -A Japanese Patent Attorney Struggling in the United States-】

昨年(2011年)9月16日に発効された米国特許法改正法(Leahy-Smith Act: AIA)により、米国特許商標庁(USPTO)は、議会の決定によることなく、特許出願料その他の庁料金を設定することができるようになった。法改正後、同年9月26日に早速、庁料金の改定が行な?...
フリーエリア
プロフィール

中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)

Author:中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)
日本の特許事務所、企業知財部勤務の経験を経た後に渡米し、米国の特許法律事務所に8年勤務後、米国テキサス州ヒューストンにおいて、日本企業の米国特許出願代理を専門とする代理人事務所(Nakanishi IP Associates, LLC)を開設しました。2016年5月、事務所を米国カリフォルニア州サクラメントに移転しました。

現在、Nakanishi IP Assocites, LLC 代表

資格:
日本弁理士
米国パテントエージェント

事務所名:Nakanishi IP Associates, LLC
所在地:
6929 Sunrise Blvd. Suite 102D
Citrus Heights, California 95610, USA

Website:
Nakanishi IP Associates, LLC

リンク
このブログをリンクに追加する
最新記事
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。