米国の一地方都市で特許事務所を経営する米国パテントエージェント兼日本弁理士が日々の業務で体験した事、感じた事を綴っています。

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クレームの記載に基づく明細書等の補完

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Therasense, Inc. v. Becton, Dickinson & Co. (Fed. Cir.
米国特許出願の中間処理において、クレームの構成要素が明細書、図面の何れにも記載(サポート)されておらず、明細書記載要件(35 U.S.C. 112条第1段落)違反を理由に出願が拒絶された場合、状況にもよるが、以下のような対応が可能な場合がある。
例えば、以下のような状況を想定する。

(1)クレームに「CPUと少なくとも1メガバイト容量のメモリーユニットとを含む制御装置」(a control device comprising a central processing unit and a memory unit of at least one giga-bite storage capacity)などという構成要素が含まれている。

(2)明細書中の実施例としては、「制御装置は、CUPと所定容量のメモリーを搭載する。」(The control device (10) includes a central processing unit (11) and a memory.)という説明がなされているのみである。

(3)図面には、発明の実施例に相当するシステム図の中に、制御装置に相当するブロック図が含まれているが、メモリーに相当するブロック図は含まれていない。

この条件下で、クレームの構成要素である“少なくとも1メガバイト容量の”メモリーユニットをサポートする開示が明細書、図面の何れにも見当たらないという理由で、112条第1段落違反の拒絶理由を受けた場合である。

このような場合には、出願当初におけるクレームの記載内容を根拠に明細書や図面を補正して明細書等の記述要件を充足させることができる。

具体的には、例えば明細書中の記載を「The control device (10) includes a central processing unit (11) and a memory of at least one giga-bite storage capacity (12).」という感じに補正し、更に、図面の制御装置中に、参照番号(12)を追加する補正を行えば、新規事項(new matter)の追加とみなされることなく、当該拒絶理由を解消することができると思われる。

上記のような明細書・図面に対する補正が可能である根拠は、例えばMPEP608.01(l)に説明されている。

-----------------------------
608.01(l)Original Claims
In establishing a disclosure, applicant may rely not only on the description and drawing as filed but also on the original claims if their content justifies it.
Where subject matter not shown in the drawing or described in the description is claimed in the application as filed, and such original claim itself constitutes a clear disclosure of this subject matter, then the claim should be treated on its merits, and requirement made to amend the drawing and description to show this subject matter. The claim should not be attacked either by objection or rejection because this subject matter is lacking in the drawing and description. It is the drawing and description that are defective, not the claim.
It is, of course, to be understood that this disclosure in the claim must be sufficiently specific and detailed to support the necessary amendment of the drawing and description.

以下、日本語訳:
日本特許庁ウエブサイトより)

608.01(l) 原クレーム
開示を確立するに際し,出願人は,出願時の説明及び図面のみならず,原クレームの内容がそれを正当化する場合は,原クレームにも依拠することができる。主題であって,図面において示されていない又は説明において説明されていないものが出願時の出願においてクレームされ,かつ,当該原クレーム自体がこの主題の明白な開示を構成している場合は,そのクレームは,その実体に基づいて処理されなければならず,また,図面及び説明がその実体を示すように補正されるべき旨の要求がされなければならない。クレームは,この主題が図面及び説明において欠落しているという理由で,異論又は拒絶の何れかにより攻められるべきではない。不備があるのは図面及び説明であって,クレームではない。当然のことながら,クレームにおける開示は,図面及び説明についての必要な補正を支持するのに十分な程度に,明示的かつ詳細なものでなければならないことが理解されなければならない。
-----------------------------

つまり、クレームの記載内容自体がその構成要素の明白な開示となっていれば、(中間処理の段階でも)当該クレームの記載を根拠に明細書や図面を補正することにより、112条違反(明細書の記載不備)を正すことが可能という事になる。

もっとも、このような記載不備は、最初から(出願段階から)存在しないに越した事はないとは思うが。。。

知っておいても損はないであろう豆知識という事で(^^;


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プロフィール

中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)

Author:中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)
日本の特許事務所、企業知財部勤務の経験を経た後に渡米し、米国の特許法律事務所に8年勤務後、米国テキサス州ヒューストンにおいて、日本企業の米国特許出願代理を専門とする代理人事務所(Nakanishi IP Associates, LLC)を開設しました。2016年5月、事務所を米国カリフォルニア州サクラメントに移転しました。

現在、Nakanishi IP Assocites, LLC 代表

資格:
日本弁理士
米国パテントエージェント

事務所名:Nakanishi IP Associates, LLC
所在地:
6929 Sunrise Blvd. Suite 102D
Citrus Heights, California 95610, USA

Website:
Nakanishi IP Associates, LLC

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