米国の一地方都市で特許事務所を経営する米国パテントエージェント兼日本弁理士が日々の業務で体験した事、感じた事を綴っています。

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112条第4段落違反(プロダクトバイプロセス形式の従属クレーム)

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35USC(米国特許法)112条第4段落には、従属クレームについて以下のようなルールが記されている。

Subject to the following paragraph, a claim in dependent form shall contain a reference to a claim previously set forth and then specify a further limitation of the subject matter claimed. A claim in dependent form shall be construed to incorporate by reference all the limitations of the claim to which it refers.

次の段落に従うことを条件として、従属形式のクレームは、先に記載された1のクレームを引用し、それに続けて、クレームされている主題についての更なる限定を明示しなければならない。従属形式のクレームは、それが引用するクレームに係る全ての限定事項を含んでいると解釈される。

(日本語訳は日本特許庁のHPより引用)
米国特許出願の中間処理で112条第4段落違反は拒絶理由になる。例えば、従属クレームの記載内容と同一、又は、言い方を変えただけで実質的に同一の内容が独立クレームに重複して含まれている場合、112条第4段落違反となる。

実際のところ、そのような独立クレームと従属クレームが出願当初から特許請求の範囲に含まれていて、審査官から拒絶を受けるケースもしばしばある。

またこんなケースもある。出願当初の特許請求の範囲に、独立クレーム1と、独立クレーム1に限定Aを加えた従属クレーム2と、従属クレーム2に更なる限定Bを加えた従属クレーム3と、独立クレーム1に限定Bを加えた従属クレーム4とが含まれていたとする。その後、従属クレーム2の限定Aと従属クレーム3の限定Bを独立クレーム1追加する共に、従属クレーム2及び3を削除(cancel)する補正を行ったが、うっかり従属クレーム4を削除(cancel)し忘れてしまった為、独立クレーム1に既に含まれている限定Bのみを内容とする従属クレーム4が残されてしまった場合、従属クレーム4ついて112条第4段落違反の拒絶理由が通知されるというケースだ。

さらに、結構多いのが以下のようなケースだ。

独立クレーム1が材料Aを製造する製造方法のクレームであり、従属クレーム2が「クレーム1の方法によって製造された材料A」であるような場合、従属クレーム2は、112条第4段落違反として拒絶を受ける場合が多い。
米国特許審査便覧(MPEP)は、その理由を以下のように説明している。

112条第4段落違反か否かを決定する一つの基準として、“Infringement Test”というのがある。

独立クレームの発明について特許侵害が成立することにより、はじめて、従属クレームの発明についての特許侵害成立が可能になる。従属クレームの発明というのは、独立クレームの発明に更なる条件や構成要素を付加したものなので、独立クレームの発明の構成要件を全て満たさない限り、従属クレームの発明は成り立ち得ないのだ。つまり、独立クレームにかかる特許侵害が成立しないのに、従属クレームにかかる特許侵害が成立するという事は本来あり得ない。

ところが、上記のケースでは、材料Aというものがクレーム1の製造方法以外のやり方でも製造可能な場合(又は将来可能になった場合)、独立クレーム1にかかる特許を侵害する事なく従属クレーム2にかかる特許を侵害する事が可能になってしまうのだ。

この考え方は、プロダクト・バイ・プロセスのクレームにかかる発明については、結果物のみによって当該発明を解釈するという原則に基づいている。

上記のような理由で112条第4段落違反を根拠にした拒絶理由を受けた場合の方策、又はそのような拒絶理由を回避するための方策としては、クレーム1に記載の製造方法をクレーム2に追加し、当該クレーム2を形式的に独立クレームにすれば良い(プロダクト・バイ・プロセスクレーム自体が禁止されているわけではないので)。

この辺りの理屈は、MPEP608.01(n)を参照していただきたい。

何れにしても、プロダクト・バイ・プロセス形式のクレーム、つくづく問題児である。できる事なら避けた方が無難。。。かも。


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プロフィール

中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)

Author:中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)
日本の特許事務所、企業知財部勤務の経験を経た後に渡米し、米国の特許法律事務所に8年勤務後、米国テキサス州ヒューストンにおいて、日本企業の米国特許出願代理を専門とする代理人事務所(Nakanishi IP Associates, LLC)を開設しました。2016年5月、事務所を米国カリフォルニア州サクラメントに移転しました。

現在、Nakanishi IP Assocites, LLC 代表

資格:
日本弁理士
米国パテントエージェント

事務所名:Nakanishi IP Associates, LLC
所在地:
6929 Sunrise Blvd. Suite 102D
Citrus Heights, California 95610, USA

Website:
Nakanishi IP Associates, LLC

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