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Alice v. CLS Bank事件 (2014年最高裁判決) を踏まえたUSPTOの予備審査指針(2)

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前回、 Alice v. CLS Bank事件 (2014年最高裁判決) を踏まえたUSPTOの予備審査指針(以下、指針という)が公表されるに至った経緯について、大雑把な説明をした。

原文はこちら↓
http://www.uspto.gov/patents/announce/alice_pec_25jun2014.pdf

今回は、その具体的な内容について説明させていただきたい。

前回説明したように、同指針は、物のクレームであろうとプロセス(方法)のクレームであろうと関係なく、審査の対象となるクレームの構成要素が「抽象的な概念」 (abstract idea) に該当するか否かについて、共通の判断基準(判断プロセス)を与えるものである。

判断プロセスは、以下の2つの段階からなる。

(1) 第一段階においては、クレームがその構成要素として「抽象的な概念」 (abstract idea) を含むか否かを判断する。

指針には、「抽象的な概念」(abstract idea)に該当するものとして、以下の4つの具体例が列挙されている(Alice v. CLS Bank事件の最高裁判決からの引用)。

(i) 基本的な経済活動 (fundamental economic practices)
(ii) 人的な活動を構成する方法 (certain methods of organizing human activities)
(iii) 概念(アイデア)そのもの (an idea of itself)
(iv) 数学的な関係又は数式 (mathematical relationships/formulas)

もし、上記具体例のうち何れかに該当する構成要素がクレームに含まれている場合、下記第二段階の判断を行う。

(2) 第二段階においては、「『抽象的な概念』以上に意義のあるもの」として、(「抽象的な概念」に該当する構成要素以外の)何れかの構成要素、又は構成要素の組み合わせがクレームに含まれているか否かを判断する。言い換えれば、クレーム中の他の構成要素として、「抽象的な概念」を利用又は応用したもの、しかも、「抽象的な概念」を利用するという単なる教示以上のものが記載されているか否かを判断する。

ここで言う「『抽象的な概念』以上に意義のあるもの」として、指針には、下記の具体例が列挙されている(Alice v. CLS Bank事件の最高裁判決からの引用)。

(i) 異なる技術又は技術分野への応用を兼ねた改善となるもの (improvements to another technology or technical fields)
(ii) コンピュータ自体の機能を改善するもの (improvements to the functioning of the computer itself)
(iii) クレームの限定(発明の特徴)として、「抽象的な概念」を特定の技術環境への通常のやり方で利用するという以上に意義のある何か (meaningful limitations beyond generally linking the use of an abstract idea to a particular technological environment)

すなわち、物又は方法の何れのカテゴリーであろうと、クレーム中に、その構成要素として「抽象的な概念」が含まれている場合、101条違反(法の保護対象としての発明ではない)が疑われる。しかしながら、例えば上記3つの具体例に該当する場合、少なくとも「クレーム発明が抽象的な概念にすぎない」という根拠に基づく101条違反の拒絶理由は免れる(解消できる)という事になる。

尚、指針には、クレームに「『抽象的な概念』以上に意義のあるもの」が含まれているか否かについては、個々の構成要素、及び各構成要素の組み合わせの双方を考慮し、クレームを全体として評価すべき旨、但し書きされている。

また、以下のような場合、「『抽象的な概念』以上に意義のあるもの」と言うには不十分であると追記されている。

・ 「抽象的な概念」をコンピュータで遂行するよう「利用する、適用する」 (apply to) 等の表記をクレーム中の表現として使用しているにすぎない場合。

・ 業界において既知のルーチンや活動を、一般的なコンピュータに、その一般的な機能を用いて実行させる以上のものではない場合。

(次回に続く)

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プロフィール

中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)

Author:中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)
日本の特許事務所、企業知財部勤務の経験を経た後に渡米し、米国の特許法律事務所に8年勤務後、米国テキサス州ヒューストンにおいて、日本企業の米国特許出願代理を専門とする代理人事務所(Nakanishi IP Associates, LLC)を開設しました。2016年5月、事務所を米国カリフォルニア州サクラメントに移転しました。

現在、Nakanishi IP Assocites, LLC 代表

資格:
日本弁理士
米国パテントエージェント

事務所名:Nakanishi IP Associates, LLC
所在地:
6929 Sunrise Blvd. Suite 102D
Citrus Heights, California 95610, USA

Website:
Nakanishi IP Associates, LLC

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