米国の一地方都市で特許事務所を経営する米国パテントエージェント兼日本弁理士が日々の業務で体験した事、感じた事を綴っています。

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Design Patent(米国)v. 意匠(日本)(2)

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前回の続きで、日本と米国における「法上の意匠」に対する捉え方の違いについての考察です。あくまでも出願や中間処理の実務を行う中での実感であり、はっきりした法的な根拠に基づくものではありませんので、予めご了承ください。

日本では、意匠登録出願の実務において、立体としての意匠を6方向から見た場合、各方向から見た意匠を正確に表す図面、すなわち六面図を提出することが原則として必須である。特に、同一の意匠を異なる方向から見た6つの図面の整合性が非常に重要であり、例えば各図の意匠の寸法に少しでも矛盾があったり、6面図のうち一つでも欠けていれば、拒絶理由となるだろう。

このような意味で、日本においては、意匠を全方向から見た時、それがどのように見えるかという事を明確にすることで物品の形態を特定する、という審査官の意識が強く働くように思う。というか、意匠に対する捉え方の基本がそうなのであろう。多分。。。

これに対し、米国の場合、6面図の寸法の整合性などは、極端な不一致がない限り拒絶理由の対象にならないし、例えば物品の底面図等は、出願人にとって意匠の重要な特徴を表す図面でないのなら、提出しなくても構わない。その代わり、たとえ6面図が提出され、各図の整合性が完璧であっても、提出された図面において物品のたとえ一部においても、その表面に表れる3次元の形状が明確でないと判断されれば、重箱の隅をつつくような拒絶理由を挙げられる印象がある。

例えば、物品の表面にやや複雑な構造物、例えば小さな取手のような構造物(取手部分)が設けられていて、真上及び横から見ても、取手部分の裏側がどのような形状か分かり難く、正確な形状が6面図でも十分に把握できないと判断されれば、それを理由に出願が拒絶される可能性がある(112条)。そのような場合、出願当初から、そのような取手部分の3次元形状が完全に把握できるような補足図面(例えば複数方向から見た拡大図等)を提出していればよかったという事になるが、特に、他国(例えば日本)の出願を基礎とした優先権主張出願でそのような追加図面を提出しておくことは現実的ではないし、ほとんど不可能と言ってもよいだろう。では、どうするかと言えば、そのような物品(意匠)の一部に過ぎない取手部分については、実線から破線に書き換える補正を行い、その部分を権利範囲から除外(disclaim)するというのが、妥当な策になる。というより、ほとんどの場合、そうするしかない。

また、日本では部分意匠という概念があり、ご存じのように、これは、物品全体(全体意匠)のうち、意匠として価値のある一部の特徴部分を抜き出し、その部分についてのみ権利化を図るべく、当該特徴部分については実線、他の部分については破線で表した図面を提出するというものだ。

米国においても、意匠図面の一部を破線で示すことできるが、それは、一般的には図面において重要でない部分を権利範囲から除外(disclaim)するための措置であって、例えば上述のように112条要件を充足させる為に行う場合も多い。もちろん、出願当初から意匠図面の一部を破線で表すことも可能ではある。

このように、意匠図面の一部を実線、他の部分を破線で表すことについて、出願に係る意匠としての取扱い自体に大差はないのだが、その考え方というか、捉え方については、日米において少なからず意識の差があったりする。

「意匠」又は「デザイン」という法律上の保護対象として、同じものを見ているようであって、実は、日本の実務者と米国の実務者との間でその捉え方に微妙な意識の差がある。そしてそのような意識の差が、微妙でありながら意外に根深く、日本企業(又は事務所)と米国代理人との間に結構な温度差を生じさせたりしている。。。気がする。

意匠は奥が深いです。。。(変なオチですみません)

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プロフィール

中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)

Author:中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)
日本の特許事務所、企業知財部勤務の経験を経た後に渡米し、米国の特許法律事務所に8年勤務後、米国テキサス州ヒューストンにおいて、日本企業の米国特許出願代理を専門とする代理人事務所(Nakanishi IP Associates, LLC)を開設しました。2016年5月、事務所を米国カリフォルニア州サクラメントに移転しました。

現在、Nakanishi IP Assocites, LLC 代表

資格:
日本弁理士
米国パテントエージェント

事務所名:Nakanishi IP Associates, LLC
所在地:
6929 Sunrise Blvd. Suite 102D
Citrus Heights, California 95610, USA

Website:
Nakanishi IP Associates, LLC

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