新事務所“Nakanishi IP Associates, LLC”開設のお知らせ(完全日本語対応によるきめ細やかなサービスで米国における強い特許の取得をお手伝い致します。)今年の9月に発行された新刊本の紹介をさせていただきます。
「
外国出願のための特許翻訳英文作成教本」(中山裕木子 著 丸善出版)

著者の中山裕木子氏は、
株式会社ユー・イングリッシュの代表取締役として、また、公益社団法人日本工業英語協会の専任講師としてご活躍されています。また、弊所 "Nakanishi IP Associates, LLC"の顧問もご兼任いただいています。
英語圏の国(特に米国)に特許出願をする際に必要となる明細書やクレームの作成、つまり日本語で書かれた出願書面を米国出願用書面として仕上げるまでに必要な知識とノウハウが凝縮された本です。
例えば日本出願の明細書をオリジナルとして米国出願用の英文明細書を作成する場合、高い英語力(英作文の能力)や技術英語の知識が求められることは言うまでもありません。その上で、米国における法律実務上の言葉や表現の取り扱いを熟知し、且つ、オリジナルに込められた出願人(発明者や知財担当者)の思惑を理解し訳文にフィットさせる応用力が必要です。
しかも、実際の翻訳作業において、日本語から英語への変換という域を逸脱することは許されません。その一方、日本語と英語の言語上の根本的な性質の違いから、直訳という意味での精度を追及すると、英語表現として明確さが損なわれがちになるといったジレンマもあります。
「米国で強い特許を取得する」という究極の目的に鑑みれば、英文明細書の作成には言葉や表現の選択に本当に多くの要求事項があります。
そのような要件を全て満たした究極の英訳というのはもしかすると存在しないのかもしれません。たとえあったとして、それは、新たな判例の出現、制度の変更、その時々の実務の常識や傾向等によって、変化していくものに違いありません。
しかし、そのような究極の英訳に近づく為の正しい努力の方向や道筋は確かにあると思うのです。
同書は、特許翻訳の教科書という枠組みを越え、その道筋を示してくれるまさに「指南書」と言って良いと思います。特許翻訳の指導書としての実践的な側面と、翻訳者や外国出願の実務者としてのプロである為又はプロを目指す為に何をどのように学ぶべきかという心構えや技術の習得方法を伝授する側面とを併せ持っています。
特に外国特許出願の実務に携わっている方、これから携わる方には、ご一読をお勧め致します。
正直な感想として、「すごい本」です。
非常に充実した内容ですが、それでも著者自身が現状に満足しておらず、進化しつづける事の大切さを読者に伝え、自ら実践されようとしている熱意が本の随所から伝わってきます。特許翻訳の技術指導書としての内容の素晴らしさもさることながら、個人的には、中山氏の謙虚で且つ高いプロ意識がヒシヒシと伝わる事を、素直に「すごい」と思いました。
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