新事務所“Nakanishi IP Associates, LLC”開設のお知らせ(完全日本語対応によるきめ細やかなサービスで米国における強い特許の取得をお手伝い致します。)Pacific Coast Marine Windshields Ltd. v. Malibu Boats, LLC (Fed. Cir. 2014)デザイン特許(日本でいう意匠権)の侵害訴訟なのだが、通常の特許についても全く無関係とは言えず、教訓となる事件である。
米国では、日本における関連意匠やかつての類似意匠のような制度はないが、相互に類似する意匠を複数の実施形態として一出願に含めることはできる。
但し、審査過程において、複数の実施形態が単一性を満たさないと判断された場合、特許出願の場合と同じように、限定要求(Restriction Requirement)を受けることになり、少なくとも幾つかの実施形態を出願から除外しなければならない。
この場合、出願から除外された実施形態については、元の出願(親出願)についてデザイン特許が発行される前なら、子出願(分割出願)を行うことにより、別のデザイン特許として権利化を図ることが可能である。
問題は、もし親出願についてデザイン特許が発行されるまでに、分割出願を行なわなかった場合。本件はこのような状況において、親出願のデザイン特許について権利行使を行った際、その権利範囲(効力範囲)が問われた事件である。
すなわち、本件においては、被告の実施品が、原告(権利者)のデザイン特許の出願時において、限定要求に応じて除外された実施形態に酷似していた。
本件において、当該デザイン特許の権利範囲(効力範囲)に関する裁判所の判断について大雑把に要約すると、親出願の際に除外された実施形態に対応する権利範囲は、分割出願により別途権利化を図る機会があったにも関わらず、そのような分割出願を行なわず、デザイン特許の権利者が(積極的に?)権利取得を放棄したものであるから、当該デザイン特許の効力は及ばないというものだった。
当たり前のようにも思えるが、よくよく考えると、ちょっと怖い考え方でもある。
通常の特許との関係も含め、次回、もう少し突っ込んだ検討をさせていただきたいと思う。
(次回に続く)
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