新事務所“Nakanishi IP Associates, LLC”開設のお知らせ(完全日本語対応によるきめ細やかなサービスで米国における強い特許の取得をお手伝い致します。)日本の特許出願制度と同様、米国の特許出願制度においても、分割出願(Divisional Application)と呼ばれる出願のタイプがある。
日本の場合、分割出願(特許法44条)と言えば、「一つの出願からその一部を抜き出し(分割し)、新たな出願とするもの」である。
米国の場合、上記日本の分割出願の定義に合致するものは、実は他にある。継続出願(Continuation Application)が、日本の分割出願に極めて近い概念で、ルール上の細かい違いはあるものの、少なくとも上記の定義による限り、日本で言う分割出願そのものである。
ちなみに、米国において分割出願というのは、継続出願の一形態であり、通常の継続出願よりも少し狭い意味合いを持つ。
米国特許法121条(
35U.S.C.121)には、分割出願は以下のように定義されている。
If two or more independent and distinct inventions are claimed in one application, the Director may require the application to be restricted to one of the inventions. If the other invention is made the subject of a divisional application which complies with the requirements of section 120 it shall be entitled to the benefit of the filing date of the original application.
(日本語訳)
一つの出願において、もし二つ以上の独立した発明がクレームされている場合、特許庁長官は、それらの発明のうち、(クレームを)一つの発明に限定(一つの発明を選択)するよう(出願人に)要求することができる。もし選択されなかった他の発明が分割出願として米国特許法120条(35U.S.C.120:先の出願に基づく優先権)の要件を満たしていれば、当該分割出願は親出願の出願日の利益を享受する。
ちなみに、米国特許法(35U.S.C.)上、分割出願に関する直接の記述を含む規定は、上記121条のみであり、同121条は、分割出願の定義に関する規定である。すなわち、分割出願というは、「親出願において限定要求がなされた場合、親出願において選択しなかったクレーム群を含む子出願」を意味する、という事になる。
では、例えば、「物質」のクレームのみを含む出願において、特許が難しいと感じた為、限定要求の対象となる蓋然性の高い「当該物質の製造方法」のクレームを審査対象とすべく、出願人が自発的に、子出願として新たな出願を行うような場合、これは分割出願だろうか?
その答えとしては、上記米国特許法121条(35U.S.C.121)の文脈に従えば、親出願において限定要求がなされていない以上、当該子出願は、分割出願(Divisional Application)ではなく、通常の継続出願(Continucation Application)という事になる。
ちょっとトリビアな話でした。。。m(_ _)m
にほんブログ村ご閲覧いただきありがとうございます!
ブログランキングに参加しています。
クリックして頂けると大変嬉しいです。