新事務所“Nakanishi IP Associates, LLC”開設のお知らせ(完全日本語対応によるきめ細やかなサービスで米国における強い特許の取得をお手伝い致します。)最近、当ブログの読者様から興味深い質問をいただいたので、紹介させていただきます。
日本企業と米国企業との共同発明について日米の両国で特許権を取得する場合、
米国を第1国として出願しなけれならないのは如何なる場合かという問題である。
米国特許法184条(a)には、以下のような規定がある。
"Except when authorized by a license obtained from the Commissioner of Patents a person shall not file or cause or authorize to be filed in any foreign country prior to six months after filing in the United States an application for patent or for the registration of a utility model, industrial design, or model in respect of an invention made in this country."
「何人も、特許庁長官による許可に基づく承認を受けている場合を除き、米国内で創造された発明(an invention made in this country)に関し、合衆国における出願から6月が経過するまでは外国に、特許のための又は実用新案、意匠若しくはひな形の登録のため出願をし、又は出願してはならないし、出願は認められない。」
つまり、米国内で創造された発明("an invention made in this country")については、米国を第1国として特許出願をしなければならないのが原則という、米国特許実務を行った経験のある者なら、聞き覚えのあるルールではある。
では、この"an invention made in this country"の"made"とは、発明の着想を意味するのか、実施可能なまでの完成を意味するのか、というのが今回突き当った問題である。
この問題については、
“Sealectro Corp. v. L.V.C. Industries, Inc., 271 F. Supp. 835 (E.D.N.Y. 1967)”というわりと有名な地裁判決がある。
結論から言えば、この事件では、裁判所は、一応、発明の実施化("reduced")をもって、発明が創造("made")されたものと解釈している。
ただし、上記はあくまでも地裁レベルの判断にすぎないし、米国の多くの専門家や実務者は、裁判所によっては異なる判断をする可能性も十分にある、と考えているようだ。
下記は米国弁護士の見解の一例である(特にpage 25, 43を参照)。
http://www.docstoc.com/docs/89932722/Foreign-Filing-Licenses---What-are-they-Why-do-we-care結局のところ、非常にありきたりな結論になってしまうが、日本の出願人(日本の企業)としては、リスク回避の観点から、発明の着想から実施までの過程の一部でも米国でなされたと判断される可能性がある場合(米国企業との共同発明についてはもちろん、例えば、日本企業の従業員が発明を完成させる過程でたとえ少しでも米国に滞在し、その滞在が当該発明の創作に少しでも関係するような場合等も含む)、米国を第1国として特許出願を行うのが無難であるように思う。
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