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米国カリフォルニア州で特許事務所を経営する米国パテントエージェント兼日本弁理士が、日々の業務で体験した事、感じた事を綴っています。

Quick Path Information Disclosure Statement (QPIDS)の効用

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QPIDS (Quick Path Information Disclosure Statement )という言葉を耳にされたことがあるだろうか。これは、現在試行段階にある新制度あり、その名称からもわかるように、IDSの手続きに関するものだ。2012年5月16日から開始され、当初、2012年9月30日まで試行されることになっていたところ、2012年12月15日、2013年3月23日までと試行終了の予定日が来る度に試行期間が延長され、現在も、暫定的に2013年9月30日を試行終了日として、試行が継続されている。どうやらかなり評判が良く、将来的には正式な規則として採用される可能性が高そうだ。

QPIDSを導入する背景として、米国特許出願においてIDS を提出する事の意義、すなわち情報開示義務履行の重要性については、以前説明させていただいた通りであり、ここでは割愛させていただくが、その提出タイミングや提出情報には、かなり細かい条件があり、この条件に従い適切な情報を適切なタイミングで提出する事により、特許出願人は米国特許商標庁(USPTO)に対する情報開示義務を履行した事になり、ようやく安心できるわけだ。

上記IDSの提出タイミング等の詳細な説明はまたの機会に譲るとして、現行の規則の下で特に厄介なのが、特許出願後、審査を経て、特許許可通知(Notice of Allowance: NOA)が発行された後に、当該出願のクレーム発明と関連のありそうな先行技術文献の存在を出願人が知ってしまった場合だ。もっとも、このような場合でも、それが当該米国出願に関連する外国出願(例えば同一の日本出願を基礎とした優先権主張を伴う欧州特許出願等)の審査で拒絶理由の根拠となった引用文献であれば、その拒絶理由通知の発行日から3ヶ月以内であればIDSとしての提出が認められるといった例外もある(特許発行料(登録料)の支払後は、この例外も認めらない)。

しかし、例えばIDSの対象となる書面を単にうっかりして提出し損ねていたところNOAが発行されたしまった場合等には、再審査請求(RCE)又は継続出願を行い審査の仕切り直しを要請する共にIDSを提出するしか手立てがなかった(特許発行料(登録料)の支払後なら、特許発行手続き取下げの嘆願書、RCE又は継続出願、及びIDSの手続きを併せて行う)。

ところが、RCEにしろ継続出願にしろ相当に高額な費用を有する手続きである。しかも、これらの手続きを行っても、結局、提出されたIDSについて、クレーム発明の特許性に影響無しと審査官が判断し、殆ど素通りで再度NOAが発行される場合も多々ある。そうすると、出願人の立場としては、いったい何の為にRCEや継続出願の費用を払ったのか?という話になってしまう。

そこで新たに提案された手続きがQPIDSなのだ。

QPIDSとは、特許発行料(issue fee)の支払後、出願人がIDSとRCEの提出を同時に行った場合、IDSに含まれる先行技術文献について、審査官はクレーム発明の特許性に影響を与えるか否か(特許性を否定する根拠となり得るか否か)、一応の判断に基づいて審査を再開するか否かを決定する。ここで、もしIDSに含まれる先行技術文献はクレーム発明の特許性に影響を与えないと判断された場合、そのまま特許が発行され、RCEの庁手数料は出願人に払い戻される。一方、IDSに含まれる先行技術文献について、審査官が、クレーム発明の特許性に影響を与える可能性があると判断した場合、審査が再開される(RCEの手続きに移行する)。

QPIDSは、上記のように、IDSの対象となる書面を提出し損ねていたところNOAが発行されたしまった場合や、NOAの発行後、ひょんなことから古い先行技術文献の存在を知ってしまった場合等において、出願人とって特許取得に要するコストを格段に節約できるようになる制度と言える。

QPIDSの運用については、以下のUSPTOのウエブサイト内の説明が参考になります。
http://www.uspto.gov/patents/init_events/qpids.jsp
http://www.uspto.gov/news/pr/2012/12-32.jsp
http://www.uspto.gov/patents/init_events/qpids_qsg.pdf

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プロフィール

中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)

Author:中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)
日本の特許事務所、企業知財部勤務の経験を経た後に渡米し、米国の特許法律事務所に8年勤務後、米国テキサス州ヒューストンにおいて、日本企業の米国特許出願代理を専門とする代理人事務所(Nakanishi IP Associates, LLC)を開設しました。2016年5月、事務所を米国カリフォルニア州サクラメントに移転しました。

現在、Nakanishi IP Assocites, LLC 代表

資格:
日本弁理士
米国パテントエージェント

事務所名:Nakanishi IP Associates, LLC
所在地:
6929 Sunrise Blvd. Suite 102D
Citrus Heights, California 95610, USA

Website:
Nakanishi IP Associates, LLC

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