新事務所“Nakanishi IP Associates, LLC”開設のお知らせ(完全日本語対応によるきめ細やかなサービスで米国における強い特許の取得をお手伝い致します。)Ring Plus, Inc. v. Cingular Wireless Corp. 事件 (Fed. Cir., August 6, 2010)
http://www.cafc.uscourts.gov/images/stories/opinions-orders/09-1537.pdfこれは、Ring Plus 社という電話会社が、同種業界のCingular Wireless 社その他(以下、Cingular Wireless 社)に対し、Ring Plus 社の所有する米国特許第7,006,608号(以下、608特許)の特許権の侵害したものとして訴訟を提起した事件である。608特許は、「ソフトウエアのアルゴリズム」と「電話の呼出し期間中にメッセージ残す方法」の発明に関するものである。Ring Plus社の主張は、「Cingular社による留守番電話サービスの提供が608特許の侵害行為にあたる」というものだった。
Ring Plus社の主張に対し、テキサス州東部地区連邦地方裁判所(一審)は、(1)「608特許はRing Plus 社による出願時の不正行為(inequitable conduct)の為、行使不能」、また、(2)「Cingular Wireless 社の留守番サービスは608特許の侵害行為を侵害しない(非侵害)」と判断した。Ring Plus社側はこれを不服として控訴を行った。
連邦控訴裁判所は、(1)については一審の判決を覆し、不正行為(inequitable conduct)があったとは言えないと判じ、(2)については、一審による非侵害の判決を維持した。
今回、題材としたいのは(1)の不正行為(inequitable conduct)に関する控訴裁判所の判断だ。結局、不正行為(inequitable conduct)は成立しなかったのだが、その理由付けは明細書の記載内容についてとても興味を引くもの、と言う以上に、米国出願用の明細書作成について注意を喚起するものに思える。
それは、米国への特許出願実務において、明細書に記載された特定の従来技術等に関する事項に誤りがあった場合、その事自体が不正行為(inequitable conduct)と判断され得るという事だ。
(次回に続く)
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