新事務所“Nakanishi IP Associates, LLC”開設のお知らせ(完全日本語対応によるきめ細やかなサービスで米国における強い特許の取得をお手伝い致します。)米国特許出願の予備補正(Preliminary Amendment)は、概ね日本の出願実務でいう自発補正にあたると言って差し支えないと思う。
日本でなされた出願を基礎として米国特許出願を行う場合、予備補正を行うのは、審査対象として米国特許商標庁(USPTO) の基準に適合するようクレームや明細書の内容や形式を整えるという、決まりきったある種の儀式のようなもの、とも言えなくはない。
予備補正は、(1)出願と同時、又は、(2)出願後、最初のオフィスアクションが発行されるまでに行う事ができる。
ところで、(1)出願と同時に行う予備補正と、(2)出願後に行う予備補正とでは、手続きのとらえ方として若干の差異があることをご存知だろうか。
これに関し、出願人として知っておいた方が良いだろうと、“私が個人的に思う”事が2つある。
先ず、米国特許出願において、クレームの総数が20、独立クレームの数が3を越えると追加料金を取られ、また、複数のクレームに従属するクレーム(いわゆる複数従属項)が一つでも含まれると、これも追加料金を取られる。また、複数従属項の場合、従属元のクレームの数だけクレームが存在するものとしてクレームの総数がカウントされる。複数従属項に複数従属項を従属させることはできず、これは形式違反となる。ここで、追加料金を避けるために、複数従属項を単数従属項に修正したり、余分なクレームを削除(整理)する為に予備補正を行う事があるが、このような追加料金の回避目的の為の予備補正は、原則、出願と同時に行うものでなければならない。出願時、一旦追加分の料金を支払ってしまうと、後からクレーム数を調整しても追加料金は返還されないという意味だ。
次に、(1)出願と同時に行う予備補正では、明細書(specification)の内容について補正を行う場合、発明の名称(title)、要約 (abstract)、それから優先権主張出願の基礎出願、分割出願の親出願、国内移行出願の国際出願等、原出願や関連出願の情報を書き入れる目的以外の補正は、必ず代替明細書(substitute specification)を提出しなければならない。
なぜ、この2点が大事かと言うと、日本の出願人がこれを知らなかった為に、出願時、米国側の代理人と若干とんちんかんなやり取り、叉は、余計なやり取りが発生してしまう事もあるからだ。もちろん、大企業の知財部や外国案件の取扱を得意とする特許事務所にとっては、米国出願手続の“いろは”にすぎないと思うが、米国出願について不慣れな企業や事務所にとっては、このような、ほんの些細な手続きの知識の有無で、米国代理人との間でコミュニケーションに齟齬が生じイライラすることもあると思う。そのようなイライラ要素を少しでも減らすに越したことはないと思い挙げてみた。ちょっとした豆知識である。
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