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米国カリフォルニア州で特許事務所を経営する米国パテントエージェント兼日本弁理士が、日々の業務で体験した事、感じた事を綴っています。

MPEP 9th Edition

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Manual of Patent Examining Procedure(MPEP:米国特許審査便覧)の最新版(第9版)が発行された。

ご存知のように、MPEPは、米国特許法、特許施行規則の細かな運用を、関連判例(裁判所の判断)も交えて詳しく解説したものであり、米国の特許出願実務において、いわば実務者のバイブルのような存在である。

まだ良く内容を確認していないが、今回の第9版は、AIA(2012年9月発行の米国特許法改正)の発行後、初めての発行されたMPEPの改定版なので、今後の出願実務に少なからず影響を及ぼす内容が含まれているものと思う。

ご興味のある方は、下記米国特許商標庁(USPTO)のウエブサイトで内容を確認できます。

http://mpep.uspto.gov/RDMS/detail/manual/MPEP/current/d0e18.xml


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AIA施行後のADSの役割 (3)

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前回、米国特許法改正(AIA)の新102条、103条施行開始後に採用されているADSの” Statement under 37 CFR 1.55 or 1.78 for AIA (First Inventor to File) Transition Applications”という欄について説明した。

すなわち、以下のstatement(供述)について、当該米国特許出願がこの供述内容に該当する場合には、チェックをするようになっている。

”This application (1) claims priority to or the benefit of an application filed before March 16, 2013 and (2) also contains, or contained at any time, a claim to a claimed invention that has an effective filing date on or after March 16, 2013.”

(和訳)
「本願は、(1)2013年3月16日より前になされた出願に基づく優先権を主張するか又は利益を伴う出願であり、且つ、(2) 2013年3月16日以降の有効な出願日を有するクレーム又はクレーム発明を含む又はある時点で含むようになった出願である。」

そして、それでは実際どのような場合に、同欄にチェックをするべき、又はしないべきなのかという問題を提示させていただいたのだが、その回答として、今回、私の個人的な見解を述べさせていただきたい。

米国内外(日本を含む)において2013年3月16日より前になされた基礎出願が存在し、当該基礎出願に基づく優先権を主張して2013年3月16日以降になされた米国特許出願(例えば、日本出願を基礎としてパリ条約上の優先権を主張する米国特許出願、日本特許庁を受理官庁とするPCT出願を親出願とした米国へのバイパス出願や、優先権主張を伴うPCT出願の米国への国内移行出願)を想定する。

(1)先ず、基礎出願の内容と、当該米国出願の内容を比べた場合、クレーム、明細書、図面が全く同一の場合(例えば基礎出願が日本語で書かれていた場合であって、米国出願の内容が基礎出願と実質的に同一内容の翻訳である場合も含む)。

この場合は、文句なしで、同欄にチェックを入れる必要はなく、実際、入れるべきではないと考えられる。

(2)基礎出願の内容と、当該米国出願の内容を比べた場合、当該米国出願において、クレームが追加又は修正されているが、追加、修正クレームは、基礎出願の開示内容(明細書、図面、クレームの何れか)によってサポートされていると考えられる場合。

この場合も、同欄にチェックを入れる必要はないと考えられる。

(3)基礎出願の内容と、当該米国出願の内容を比べた場合、当該米国出願において、クレームの追加や修正はないが、明細書や図面の修正(例えば、実施例の追加や図面の追加)がある。

このような場合であっても、当該米国出願のクレームが基礎出願の内容によってサポートされていると考えられ、明細書や図面の修正が単なる実施例のバリエーションの拡充である場合や、誤記の訂正にすぎない場合、同欄にチェックを入れる必要はないと考えられる。

こうしてみると、同欄にチェックを入れるべきケースというのは、実務上、非常に少ないのではないかと思う。
では、どのような場合、同欄にチェックを入れるべきなのだろうか。

基礎出願の内容と、当該米国出願の内容を比べた場合、基礎出願の何処にも含まれていなかった発明が当該米国出願において、修正クレーム又は追加クレームとして加わった場合、というのがその答えになると思う。この事は、当該米国出願が、たとえ一部継続出願(CIP:continuation-in-part application)であっても同様であると考えられる。例えば、(3)の事例では、基礎出願(親出願)が米国出願である場合、子出願としての当該米国出願は当然CIPになる。

なお、同欄にチェックを入れるか否か、すなわち、当該米国出願が、基礎出願の内容に含まれていなかったクレーム又はクレーム発明を含んでいるか否か、というのは、あくまでも出願人の主観を問うているにすぎない為、審査官の見解がそれと異なれば、審査過程において争いになるかもしれない。しかし、出願人が主観的にどのように判断するかは、例えば、Duty of Candor(誠実義務)の履行とは別の話であり、出願人の主観に誤りがあったと後で判明しても、これをもって誠実義務違反にはならない事を付言しておきたい。

結局、出願人の立場としては、「基礎出願の何処にも含まれていなかった発明を、当該米国出願に修正クレーム又は追加クレームとして加えた。」という意図がある場合のみ、同欄にチェックを入れる必要があると考えて差し支えないと思う。

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AIA施行後のADSの役割 (2)

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前回、米国特許法の改正(AIA)の施行に伴い、出願におけるADS (Application Data Sheet)の役割が非常に重要になった事を説明した。改正法下でのADSの重要性に関連する別のトピックに触れたいと思う。

なお、このトピックについても、実際、何人かの日本の実務家の方から問い合わせを受けた経緯がある。

改正後のADSには、” Statement under 37 CFR 1.55 or 1.78 for AIA (First Inventor to File) Transition Applications”という欄があり、以下のstatement(供述)について、当該米国特許出願がこの供述内容に該当する場合には、チェックをするようになっている。

” This application (1) claims priority to or the benefit of an application filed before March 16, 2013 and (2) also contains, or contained at any time, a claim to a claimed invention that has an effective filing date on or after March 16, 2013.”

(AIA施行後のADSはこちら(USPTOのWebsite)で公表されています)

この供述内容を和訳すると以下のようになるかと思う。

「本願は、(1)2013年3月16日より前になされた出願に基づく優先権を主張するか又は利益を伴う出願であり、且つ、(2) 2013年3月16日以降の有効な出願日を有するクレーム又はクレーム発明を含む又はある時点で含むようになった出願である。」

ここで、2013年3月16日というのは、いわゆる先願主義導入の基準日である。つまり、2013年3月16日以降出願された特許出願については、従来の米国法制下による先発明主義ではなく、AIAにより導入された先願主義の適用を受ける事になる。

そこで、上記供述が何を意味するかというと、出願人が上記の供述を行う(供述欄にチェックを入れる)という事は、当該出願は本来、法改正前(Pre-AIA)の先発明主義の適用対象であるが、一部のクレームが改正法の施行開始後に追加された為、先願主義の適用対象である事を、出願人が認めるという事になる。

なお、今回の法改正(AIA)では、出願に含まれるクレームが一つでもAIAの先願主義の適用の対象になれば、自動的に出願に含まれる全てのクレームがAIAの先願主義の適用の対象になるという運用になっている。この為、上記供述欄にチェックを入れれば自動的に当該出願に含まれる全てのクレームはAIAの先願主義の下で新規性(35U.S.C.102)や進歩性(35U.S.C.103)の要件が審査(判断)される事になる。

さて、新規性・進歩性の要件の判断について、先発明主義(Pre-AIA)が適用される場合、先願主義(AIA)が適用される場合で何が違うののだろうか。

相違点はいくつかあるが、ここでは、米国特許特許出願において審査上特に重要と思われる違いの典型例の一つを挙げる。


AIA time chart 1

上記のタイムチャートにおいて、AIAの適用開始日(原則)である2013年3月16日(以下、基準日)より後になされ、且つ、基準日より前の基礎出願について優先権を主張する米国特許出願について考える。この米国特許出願Aに対し、当該出願Aの出願日より1年以上前に“外国において公然実施”された先行技術Bが存在すると仮定する。

この場合、米国特許出願Aのクレーム発明に対し、もし改正前の法(Pre-AIA)が適用されると、先行技術Bは米国内での公用には該当せず、従って102条(a)項、(b)項、何れの適用対象にもならない。従って、Bは出願Aの新規性や進歩性を判断する上で先行技術にはなり得ない。

一方、同米国特許出願Aのクレーム発明に対し、もし改正法(AIA)が適用されると、先行技術Bは、102条(a)(1)の適用対象となり、すなわち米国内外を問わない公用に該当する。従って、Bは出願Aの新規性や進歩性を判断する上で先行技術として取り扱われる事になる。

つまり、上記供述欄にチェックをするか否かというのは、当該出願のクレーム発明の特許性判断に影響を及ぼす可能性があるという事だ。

では、実際、どのような場合、同欄にチェックをするべき、又はしないべきなのか。

この点については次回説明させていただきたいと思う。

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AIA施行後のADSの役割 (1)

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米国特許法の改正(AIA)の施行に伴い、特に米国特許出願の出願時に要求される手続きに関する手続上の変更点について、複数の日本の実務家の方から、以下のような質問を受けた。

Q. 改正後、代理人から提供される発明者宣誓書(又は宣言書)のフォーマットを見ると、その内容が随分と簡単で、例えば優先権主張の基礎出願(日本出願)の情報を記入する欄もなければ、発明者の国籍や住所を記入する欄すらないが、これで本当に大丈夫なのか?

A. 回答としては、「問題なし」である。

これは、まさに今回の法改正の趣旨のひとつ、出願時の手続きの簡素化によるもので、出願に係るそのような詳細情報は、全て出願データシート(Application Data Sheet: ADS) に集約するというものなのだ。

実際、改正前、出願の際、ADSの提出は推奨事項ではあったものの、あくまでも出願人の任意によるものだった。これが、法改正後、 2012年9月16日以降の米国特許出願については、当該出願が外国出願又は国内出願からの優先権主張を伴う場合(継続出願や分割出願もこの類の出願)、出願時におけるADSの提出が必須となった。

なお、改正後、発明者のみならず、発明の譲受人(例えば企業)も米国特許出願の出願人となれるようになった事はご承知の通りだが、そのような場合、すなわち出願が発明者本人ではなく譲受人による場合にも、出願時におけるADSの提出が必須になる。

この辺りの手続きについては、米国特許商標庁(USPTO)が公表しているAIAの説明会資料がわかり易いと思う(背景の理解の助けにもなります)。AIAの施行に伴い、出願におけるADSの役割が非常に重要になった事が良くわかる。

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USPTO 庁手数料の改定(2013年3月19日)

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2013年3月16日の米国改正法(AIA)の一部施行に伴い、3月19日以降、米国特許商標庁(USPTO)に対する出願、中間処理、特許維持年金等の料金表が改定された(AIA Section 10に基づく改定)。

減額された項目もあるが、全体としてはかなり値上傾向の感が否めない。

例えば大企業の場合、新規に米国特許出願を行う場合、基本手数料、調査料、審査料の3基本項目を合せた合計が$980から$1600へと6割増になった。
(Basic filing fee($330→$280)+Search Fee($430→$600)+Utility Examination Fee($220→$720))

改定後の料金表はこちら

一方、今回の改訂のひとつの目玉として、従来のLarge Entity (大企業)用料金、Small Entity (中小企業)用料金に加え、Micro Entity (特定の条件を満たす個人や発明者のグループ)用料金が設定されたことが挙げられる。ほとんどの手数料について、これまで通りSmall Entityに課される料金はLarge Entityの半額である他、Micro Entityに課される料金はLarge Entityの75%割引になる。

とはいえ、通常の企業にとって、Micro Entityの導入による影響はほとんどなさそうだ。

また、最後の拒絶理由通知(Final Office Action)後のクレーム補正が認められなかった場合等によく行なう継続審査請求(RCE)の手数料がこれまでの$930に比べかなり値上がりした上(1回目のRCE手数料が$1200)、2回目以降のRCE手数料は$1700と更に高額になる。

RCEによる出願審査の引き延ばしをできるだけやめさせたいという事だろうか。。。(汗)

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プロフィール

中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)

Author:中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)
日本の特許事務所、企業知財部勤務の経験を経た後に渡米し、米国の特許法律事務所に8年勤務後、米国テキサス州ヒューストンにおいて、日本企業の米国特許出願代理を専門とする代理人事務所(Nakanishi IP Associates, LLC)を開設しました。2016年5月、事務所を米国カリフォルニア州サクラメントに移転しました。

現在、Nakanishi IP Assocites, LLC 代表

資格:
日本弁理士
米国パテントエージェント

事務所名:Nakanishi IP Associates, LLC
所在地:
6929 Sunrise Blvd. Suite 102D
Citrus Heights, California 95610, USA

Website:
Nakanishi IP Associates, LLC

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