米国の一地方都市で特許事務所を経営する米国パテントエージェント兼日本弁理士が日々の業務で体験した事、感じた事を綴っています。

「一体形成」「一体成形」

「一体形成された」という日本語は、英語ではどのような表現になるだろうか。素直に英訳すると、“integrally formed”などという事になるだろうか。

ただ、“integrally formed”という表現は、少なくともクレームで用いられた場合、いわゆる単一の材料を一体成形して作った部材のようには解釈されない(そこまでは限定されない)可能性が高い。複数の別部材を組み合わせ結果として一つの部材が出来上がった場合も”integrally formed”と一般には解釈される。

もし、単一材料から形成されている事を明確に主張したい場合には、例えば、integrally moldedとか、integrally dicasted等という表現なら、成形型やダイで一体に成形したものになる。しかし、その場合、単一材料を切削して形成したものは除外されるだろう。 integrally formed of a single material 等の表現が単一材料から一体形成されているいうニュアンスとしては一番近いのかもしれない。

もちろん、日本語でも「一体形成」と言った場合、必ずしも単一材料から形成されている事を意味しないかもしれない。例えば「一体成形」とはニュアンスが違うかもしれない。そんな事を考え出すと、「成形」といったら成形型を使った加工だけしか意味しないのか、等という疑問も湧いてきたりする。要は、発明の本質がどのようなものかによるところが大きいと思うが、何れにしても「一体形成」という言葉、時として、日本語クレーム⇒英語クレームへの変換の過程で、発明者の本来の意図を微妙に伝わらなくする表現の一つと思う。

例えば、「単一材料から形成されるのか、そうでなくても良いのか」という事が、従来技術との差別化を図る上でどの程度重要なのか、等にもよるだろう。

この種の表現がクレームに含まれている場合、明細書本文中ににおいて、言葉の意味にある程度幅を持たせたり、将来の補正の可能性を考えて、他の表現に置き換えられるよう、選択肢を用意しておくのが良いのかもしれない。つくづく、明細書やクレームの表現や言葉使いは難しいと思う。

この点については、翻訳者や外国出願担当者も工夫も大事と思いますが、恐らくはそれ以上に、日本語(原文)明細書の作成者の役割が重要ですね。

以上

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1st Office Action Estimator (出願後、最初のオフィスアクションはいつ頃?)

個々の出願について、出願手続きを行った後、いつ頃最初のオフィスアクション(又は特許許可通知)を受け取ることができるのかという事については、出願人にとって、気になるところと思う。

米国特許出願の場合、例えば、出願から14ヵ月までに最初のオフィスアクションが発行されないと、特許期間調整(Patent Term Adjustment)において、それがUSPTO側の責任による遅延として扱われるように(35 U.S.C § 154 (b))、出願から14ヵ月というのが最初のオフィスアクションまでの期間として一つの目処ではある。

しかし実際には、技術分野によってかなりのばらつきがある。

審査を担当する技術部門(Group Art Unit)が確定すると、包袋閲覧のサイトにおいて、最初のオフィスアクション発行までのおおよその期間を確認する事ができる。出願公開後であれば、誰でもこれを確認する事ができる。

また、上記とは別に、庁内の技術部門又は特許分類によって、出願から最初のオフィスアクションが発行されるまでの平均の期間がどれくらいかを教えてくれるUSPTOのサイトがある。

"First Office Action Estimator"

技術分野によって、現在、米国特許の審査がどれくらいのスピードで行われているのかを大雑把に把握する上で役に立つと思います。

以上

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101条要件の分析ツール

Alice v. CLS Bank事件最高裁判決の基準に照らし、英文クレームのテキストを入力するだけで101条要件をクリアできるかどうかを自動的に分析してくれるツールが、"PATENTLYO"という有名なIPブログに紹介されていました。

PATENTTLYOの紹介記事はこちら⇓
https://patentlyo.com/hricik/2017/10/automated-analysis-eligibility.html

ツールはこちら⇓
http://alice.cebollita.org:8000/predict

30000以上の出願とオフィスアクションを元に分析を行う(らしい?)ようで、英文クレームが101条要件のクリアできるかどうかを瞬時に判断します。信頼性のほどは定かではありませんが、とても興味深いものではあります。

一応、有名サイトに掲載されたものですが、くれぐれも自己責任でお試しください。

以上

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閑話 -米国の意匠権 (Design Patent) の存続期間-

米国の特許権(utility patent)の存続期間の終期は、原則として出願日から起算して20年です。権利は特許発行日から発生します。ただし、審査期間が庁側の責任で遅延した場合には延長されます。審査官が必要以上に審査に時間を要してしまった為に、その終期が出願日を起点として計算される権利の存続期間が実質的に短縮される事があるからです。この延長期間の設定は、特許期間調整(patent term adjustment)と呼ばれます。

一方、意匠権(米国ではdesign patentと呼ばれます)にはpatent term adjustmentがありません。

これはなぜでしょうか。

米国では、意匠権の存続期間は発行日から15年です(2015年5月13日以降の出願)。つまり、権利の発生日である発行日を起点として計算されるので、審査にどれだけ時間がかかったとしても、権利の存続期間が短縮される事はありません。つまり、期間を調整する根拠がないのです。

当たり前といえば当たり前ですが。。。ちょっと面白いかなと。

以上

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ワン・ポータル・ドシエ(OPD)照会

 ご存知の方も多いかもしれませんが、日本特許庁のウェブサイト(正確には特許情報プラットフォーム:J-Plat Pat)において、「ワン・ポータル・ドシエ(OPD)照会」というサービスが利用できます。下記のリンク先↓

https://www10.j-platpat.inpit.go.jp/pop/all/popd/POPD_GM101_Top.action

 このシステムを使えば、文献番号から世界各国の特許庁が保有する出願・審査関連情報(ドシエ情報)を照会できる。
 例えば、日本出願の出願番号や公開番号等(他国の出願番号や公開番号等でもOK)を入力すると、日本、韓国、中国、欧州、米国、オーストラリア、カナダの各国における審査状況(包袋)や、PCTの国際段階における国際調査報告書や見解書等の作成状況が一括して閲覧できる(もちろん、公開情報に限られる)。

 下記日本特許庁のウェブサイトでの説明がわかりやすいと思う。

https://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/godai_patent_user.htm


 とてもありがたいのは、日本、韓国、中国での包袋に含まれる各文書の英訳を簡単に入手できる事だ。
 米国出願において、関連出願(ファミリー)の関連情報をIDSとして提供する際、大いに役立つと思う。特に、これまで、英語以外で作成された米国以外のオフィスアクション(拒絶理由通知)の英訳の入手が容易になるのが、場合によってはかなりありがたい。保証はできないけれど、各国の審査情報のシステムへの反映はかなり早いように感じる。

ご興味のある方はお試しください。

以上

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プロフィール

中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)

Author:中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)
日本の特許事務所、企業知財部勤務の経験を経た後に渡米し、米国の特許法律事務所に8年勤務後、米国テキサス州ヒューストンにおいて、日本企業の米国特許出願代理を専門とする代理人事務所(Nakanishi IP Associates, LLC)を開設しました。2016年5月、事務所を米国カリフォルニア州サクラメントに移転しました。

現在、Nakanishi IP Assocites, LLC 代表

資格:
日本弁理士
米国パテントエージェント

事務所名:Nakanishi IP Associates, LLC
所在地:
6929 Sunrise Blvd. Suite 102D
Citrus Heights, California 95610, USA

Website:
Nakanishi IP Associates, LLC

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