米国の一地方都市で特許事務所を経営する米国パテントエージェント兼日本弁理士が日々の業務で体験した事、感じた事を綴っています。

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閑話 -米国の意匠権 (Design Patent) の存続期間-

米国の特許権(utility patent)の存続期間の終期は、原則として出願日から起算して20年です。権利は特許発行日から発生します。ただし、審査期間が庁側の責任で遅延した場合には延長されます。審査官が必要以上に審査に時間を要してしまった為に、その終期が出願日を起点として計算される権利の存続期間が実質的に短縮される事があるからです。この延長期間の設定は、特許期間調整(patent term adjustment)と呼ばれます。

一方、意匠権(米国ではdesign patentと呼ばれます)にはpatent term adjustmentがありません。

これはなぜでしょうか。

米国では、意匠権の存続期間は発行日から15年です(2015年5月13日以降の出願)。つまり、権利の発生日である発行日を起点として計算されるので、審査にどれだけ時間がかかったとしても、権利の存続期間が短縮される事はありません。つまり、期間を調整する根拠がないのです。

当たり前といえば当たり前ですが。。。ちょっと面白いかなと。

以上

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ワン・ポータル・ドシエ(OPD)照会

 ご存知の方も多いかもしれませんが、日本特許庁のウェブサイト(正確には特許情報プラットフォーム:J-Plat Pat)において、「ワン・ポータル・ドシエ(OPD)照会」というサービスが利用できます。下記のリンク先↓

https://www10.j-platpat.inpit.go.jp/pop/all/popd/POPD_GM101_Top.action

 このシステムを使えば、文献番号から世界各国の特許庁が保有する出願・審査関連情報(ドシエ情報)を照会できる。
 例えば、日本出願の出願番号や公開番号等(他国の出願番号や公開番号等でもOK)を入力すると、日本、韓国、中国、欧州、米国、オーストラリア、カナダの各国における審査状況(包袋)や、PCTの国際段階における国際調査報告書や見解書等の作成状況が一括して閲覧できる(もちろん、公開情報に限られる)。

 下記日本特許庁のウェブサイトでの説明がわかりやすいと思う。

https://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/godai_patent_user.htm


 とてもありがたいのは、日本、韓国、中国での包袋に含まれる各文書の英訳を簡単に入手できる事だ。
 米国出願において、関連出願(ファミリー)の関連情報をIDSとして提供する際、大いに役立つと思う。特に、これまで、英語以外で作成された米国以外のオフィスアクション(拒絶理由通知)の英訳の入手が容易になるのが、場合によってはかなりありがたい。保証はできないけれど、各国の審査情報のシステムへの反映はかなり早いように感じる。

ご興味のある方はお試しください。

以上

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Relative Terminology -term of degree-

「クレームに記載された文言又は表現が曖昧である為に発明が不明確である」といった理由で112条(b)項違反の拒絶理由を受ける事がある。

この種の112条(b)項違反の拒絶理由には、幾つかパターンがあるが、そのうちの一つに、"relative terminology"というのがある。

クレームにおいて、"terms of degree"(程度を示す用語)は、発明を十分明確に表現することにならない場合があるというものだ。

この種の用語は、出願時において、できれば避けた方が無難な用語ではあるけれど、以下の通り、場合によっては、112条要件違反を主張する審査官に反論が可能な場合もある(ケースバイケースです)。

"essentially"とか "substantially"などは、問題になり易い用語として良く知られている。何れも「本質的に」とか、「実質的」という意味になる。これらの用語を使ったからと言って、必ず112条(b)項違反になるわけではないが、問題になる可能性は高い。要は、どの程度が「本質的」又は「実質的」なのかが、明細書を照らし合わせてみた時、当業者にとって明確であると言えれば、112条(b)項違反にはならないという事になっている (In re Marosi (Fed. Cir. 1983), Exxon Research and Eng’g Co. v. United States (Fed. Cir. 2001))。

"terms of degree"(程度を示す用語)として、112条(b)項要件が問題になった用語には、"near"(近傍)という用語もある。これも、「近傍」が「どの程度近い」ことを意味するのかが、明細書を照らし合わせてみた時、当業者にとって明確であると言えれば、112条(b)項違反にはならない、とされた判例がある(Young v. Lumenis, Inc. (Fed. Cir. 2007))。

それから、少し面白い表現として"so dimensioned as to be insertable through the space between A and B"(部材Aと部材Bの間に挿入可能な"dimension"(形状や大きさ))というのがある。実際にこの表現が問題になったケースでは、裁判所は、概ね以下のような趣旨で、上記の表現は112条(b)項要件を満たすと判じている。

「(クレームの文脈から)当業者は、クレームで表現された形状や大きさを容易に理解できるし、この表現が、当該技術分野において当該箇所に使用され得るあらゆる部品を意味するわけではなく、有限な範囲に部材(の形状や大きさ)を限定している。」(Orthokinetics, Inc. v. Safety Travel Chairs, Inc. (Fed. Cir. 1986))。

以上

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ソフトウェア関連発明の101条要件 (SMARTFLASH LLC v. APPLE INC.)

 ソフトウェア関連発明の101条要件が問題になった新しい判例 (CAFC)の紹介です。

SMARTFLASH LLC v. APPLE INC. (Fed. Cir. March 1, 2017)

 SMARTFLASH社他1社が、3件の米国特許の侵害を理由Apple社を提訴した事件。

 下級審(連邦地裁)において、Apple社は、問題となった特許について101条違反に基づく無効を主張したが、同連邦地裁はApple社の主張を退け特許は101条要件を満たし、有効であると判じた。Apple社は連邦地裁の判決を不服とし連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)に控訴した。

 CAFCは、連邦地裁を判断を覆し、問題となった3件の特許は101条違反で無効という判決を下した。

以下、問題となった特許の代表的なクレーム(U.S. Patent No. 7,334,720のクレーム3)

3. A data access terminal for retrieving data from a data supplier and providing the retrieved data to a data carrier, the terminal comprising:
a first interface for communicating with the data supplier;
a data carrier interface for interfacing with the data carrier;
a program store storing code; and
a processor coupled to the first interface, the data carrier interface, and the program store for implementing the stored code,
the code comprising:
code to read payment data from the data carrier and to forward the payment data to a payment validation system;
code to receive payment validation data from the payment validation system; code responsive to the payment validation data to retrieve data from the data supplier and to write the retrieved data into the data carrier; and
code responsive to the payment validation data to receive at least one access rule from the data supplier and to write the at least one access rule into the data carrier, the at least one access rule specifying at least one condition for accessing the retrieved data written into the data carrier, the at least one condition being dependent upon the amount of payment associated with the payment data forwarded to the payment validation system.

 インターネットにアクセスが可能な端末機器に関する発明で、同端末機器においてインターネットを通じデータを取得し、その対価をデータの提供者に支払う際、認証と支払いを行えるようにする機能を備えた端末機器の発明である。
 発明のポイントして、クレームは、以下の構成要素を含む。

(1) データ提供者と通信を行う為の第1のインターフェイス
(2) 通信事業者と通信を行う為のデータキャリア・インターフェイス
(3) 上記の機能を遂行するためのプログラム (ソフトウェア)
(4) 前記第1のインターフェイス、前記データキャリア・インターフェイス、前記プログラムを保管したメモリ、と連携するプロセッサー

 先ず前提として、クレーム発明が101条要件を満たすか否かを判断するにあたっては先のAlice Corp v. CLS Bank事件の最高裁判決で確立された“2 Step Analysis” の手順に従う。本件における地裁の判断も、CAFCの判断も、この点については一致している。

(1) 第1ステップにおいて、クレーム発明が抽象概念 (abstract idea) に関するものであるかを判断し、Noなら101条要件を満たすと判断する。一方、Yesなら第2ステップに進む。
(2) 第2ステップにおいて、クレームに特定の条件を満たす限定事項 (limitation) が含まれていると判断されれば、101条要件を満たすと判断する。

 地裁では、上記クレームについて、第1ステップにおいてYes(クレームは支払い情報のデータに対するアクセスの条件設定や制御についての抽象概念に関する)と判断したが、第2ステップにおいてクレームに特定の条件を満たす限定事項が含まれており、結果として、当該クレームは101条要件を満たすと判断した。

 より具体的には、「クレームには、複数のタイプのデータとメモリーとを活用する特定の方法、及び、抽象概念を越える活用ルールが記載されている。クレームの文言として、機能的でいくぶん一般的ともいえるものもあるが、発明のポイントとして意義のある限定事項が記載されている」(特定の条件を満たす限定事項が含まれている)というのが、地裁の見解であった。

 これに対し、CAFCは、第1ステップにおける判断については、地裁の判断(クレームは抽象概念に関するから、Yesであるという判断)を支持したが、第2ステップについては地裁と異なる見解を示した。

 Bilski v. Kappos事件における最高裁の見解のように、例えば「リスクヘッジの概念とその概念のエネルギー市場への利用は、商取引において広く知られた基本的な経済活動であるから、特許発明としての適格性を欠く」。本件で問題なったデータの制御や利用条件の設定に関する発明では、一つの条件として、クレームに記載された発明が「コンピュータの性能を高めるもの」であれば適格性を認めることができる。⇒本件の発明はデータへのアクセスを制御するものに過ぎず、「コンピュータの性能を高めるもの」ではない。⇒適格性は認められない。

 また、Alice Corp v. CLS Bank事件における最高裁の見解として、「クレームの性格」を変換して「特許発明としての適格性を有するもの」への応用であると言えるほど、(進歩性のある)発明概念(Inventive Concept)がクレーム記載されていれば適格性を認めることができる。コンピュータによるルーチン処理は、そのような発明概念(Inventive Concept)と認めるには不十分である。⇒本件のクレームに記載された処理は、産業界において広く知られた処理に過ぎない。⇒適格性は認められない。

 本事件におけるCAFCの見解は、Alice Corp v. CLS Bank事件以降のCAFC判決の傾向に沿ったもので特筆すべき点があるというほどのものではない。ただ、「ネットワークを利用するものも含め、純粋なソフトウエアの発明では、クレーム記載されたソフトウエアが、実際にコンピュータの機能を従来よりも高めることができるか、そうでなけば、よほど技術的な特殊性を主張できなければ、現行の実務として、101要件を認めさせることはかなり難しい」という事が、本事件によって改めて強く印象づけられた。

 DDR Holdings, LLC v. Hotels.com, L.P.事件(DDR事件)におけるCAFCの見解や判断が、ソフトウエア関連発明について特許を受けようとする出願人や特許を維持しようとする特許権者にとって、希望になってはいるが、この種の発明について101条要件を否定するCAFCの新しい判決が出るたびに、DDR事件におけるCAFCの判断が非常に例外的なもので、同事件についても、最高裁で争われたなら、特許の有効性が維持できたかどうか、怪しいのではないかという気がしてしまう。

 現行の判例の傾向では、ソフトウエア関連発明で101条要件を認めさせるためには、実質的には、「発明のソフトウェアがハードウェアの機能を高める性質」を持っていないとかなり厳しい気がする。

 Alice判決以降に特許庁(USPTO)に示された指針には、101条要件が認められるための条件として、6つの条件が提示されている(何れか1つを満たせば101条要件が認められる)。その中に、(A)「他の技術又は技術分野における改善 (Improvements to another technology or technical field))」という条件、それから(B) 「コンピュータ自体の機能に対する改善 (Improvements to the functioning of the computer itself)」という条件がある。

 クレームに記載されたソフトウエアの発明が、コンピュータ自体の機能を改善するものなら当然(B)の条件を満たす。また、コンピュータ自体でなくても、何らかの形で当該ソフトウエアがハードウェアの機能を改善するものなら、恐らく(A)の条件を満たすだろう。ただし、この改善(improvement)という言葉は結構な曲者で、従来は達成できなかった技術的な改善が明確な効果として示す必要がある気がする(これは私見です)。

 それから、(B)の条件を満たす他の切り口として、当該ソフトウェアによって生成される結果物自体に、明確な新規性や非自明性が認められば、この場合も(B)の条件を満たすると言えるのではないかと思う(これも私見ですが)。
 
 それから、「純粋にコンピュータ、ごく一般的なコンピュータの周辺機器やネットワークを使うのみのプログラム」ではなく、特定のハードウェア(例えば、センサーとか、自動車のエンジンとか)を制御するためのプログラムであれば、形式的にプロセッサーやメモリー等をクレームに組み込むことで、必然的に(B)の条件(又はその他の条件)を満たす事になるのかな、という気はする(これも私見ですが)。実際のところ、経験上、そのような特定のハードウェアを制御するためのクレームについて101条違反の拒絶理由を受けた記憶がない(ごく形式的な101条違反は除いて)。

 何れにしても、この種の発明、適格性(101条要件)を認める条件をもう少し緩めても良いのではないかなあ。。。という気はします。純粋に新規性とか非自明性(進歩性)ではなく、このような観点から特許の有効性が否定されるのは、なんだか嘆かわしいなあ、と思うのは私だけでしょうか。。。

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101条要件違反の拒絶理由に対する対策(ソフトウェア関連発明)について

Bilski事件(2010年)、Mayo事件(2011年)、Alice事件(2014年)といった一連の最高裁判決を経て、特にソフトウェア関連発明における101条要件(発明の適格性)についてのハードルが非常に高く感じられるようになった今日です。

米国の多くの実務家の間でもかなり大きな問題になっています。

とても難しい問題と思いますが、弊所においても、この問題に対応すべく弊職なりの経験と知識に基づき、特にソフトウェア関連発明の出願において101条要件違反の拒絶を回避、解消するための方策をまとめてみました(弊所のウェブサイトで公開致しました)。

弊職の個人的な経験や私見に基づく内容も多く、完璧なものとは全く言えませんが、この課題を考える上での資料として、多少なりともお役に立てば幸いと思います。

35U.S.C.101(発明の特許適格性)違反の解消と回避に関する考察(Nakanishi IP Associates, LLC)

101条要件違反対策として、あくまでも私見に基づくものであり、これをご参考にされ、USTPOへの対応を行った場合、その結果に対して責任を負うものではありませんので、予めご了承ください。

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プロフィール

中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)

Author:中西康一郎 (Koichiro Nakanishi)
日本の特許事務所、企業知財部勤務の経験を経た後に渡米し、米国の特許法律事務所に8年勤務後、米国テキサス州ヒューストンにおいて、日本企業の米国特許出願代理を専門とする代理人事務所(Nakanishi IP Associates, LLC)を開設しました。2016年5月、事務所を米国カリフォルニア州サクラメントに移転しました。

現在、Nakanishi IP Assocites, LLC 代表

資格:
日本弁理士
米国パテントエージェント

事務所名:Nakanishi IP Associates, LLC
所在地:
6929 Sunrise Blvd. Suite 102D
Citrus Heights, California 95610, USA

Website:
Nakanishi IP Associates, LLC

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